離乳食(補完食)を始める前に (2018.01更新)

離乳というと母乳やミルクを止めていく準備と思われがちですが、決してそうではありません。離乳食を始めるというのは、赤ちゃんが成長するのに、母乳やミルクだけでは栄養が足りなくなってきたのを補うと言うことで、補完食というようにしています。ひとさじの離乳食(補完食)から一生続く食生活が始まります。乳幼児期は味覚や食習慣が形成される大切な時期です。

愛情たっぷりの食事でスタートしたいですね。

食事は学習

母乳やミルクを飲むというのは生まれつき備わっている本能的な反射です。生後間もない赤ちゃんは、唇に何かが触れると吸いつこうとします。=吸綴(きゅうてつ)反射といいます。赤ちゃんは、この吸綴反射があるために教えなくても上手に母乳やミルクを飲むことができるのです。

しかし「食べる」ことは本能ではなく、少しずつ学習し練習を積み重ねながら獲得していくものです。食べさせてあげる時には「ゴックン」「パクパク」「モグモグ」など声をかけ、動きのお手本を見せながら教えてあげましょう。

赤ちゃんにとっては全てが初めての連続です。(大人になると毎日初めての事だらけ、ってあまり経験できないですね。)上手くできた、と思ったら逆戻りなんてこともめずらしくありません。焦らず気長に見守りましょう。

食べる機能の発達に合わせて

吸綴反射は、離乳食(補完食)が始まるころから自然に消失していきます。ここからは反射的に口が動くのではなく、自分の意思で動かすことが出来るようになってきます。かといってすぐに上手くできるわけではなく、舌や口の周りの筋肉の動きが重要になります。

口に入れる→モグモグする→飲みこむといった一連の動作をするには、身体の発達と同じように舌や筋肉の発達の順序があります。母乳やミルクを飲む際の舌は、どちらかというと押し出す動きです。しかし食事を摂るには舌で送り込む動きが必要になるため、赤ちゃんにとっては食物を取り込むだけでも大変なことなのです。

自治体から配布されるパンフレットや雑誌などに載っている赤ちゃんの食事の進め方は、厚労省の「離乳・授乳の支援ガイド」に基づいています。支援ガイドでは「生後5、6か月頃」「7、8か月頃」「9~11か月頃」と表記されていますがあくまでも目安です。

お子さんがその月齢に示されたものが食べられなくても焦る必要はありません。寝返りやハイハイと同じように発達の過程なので、個人差があって当然です。周りの子と違うのでは、と比較して悩む必要はありません。お子さんの食べる機能に合わせた形態にしてあげてくださいね。

赤ちゃんはどんな食にも対応できる白紙の状態です。
たまたま日本で育つことになり、多くの子が主食のお米からスタートします。でも育った国が違えば芋や豆などから始めているかもしれません。例えばお箸の文化やフォークの文化など、育った環境で当たり前に感じる食風景が大きく変わります。

日本には四季があり季節ごとの行事なども多く、伝えたい食文化がたくさんあります。ひとさじから始まる離乳食(補完食)を、大人も楽しみながら始めましょう!