院長・スタッフのブログ
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®)の接種について
2024年11月5日
経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®)は 2003 年に初めて米国で承認され、2023 年 4 月時点で 36 の国と地域で承認されています。国内においては2024/25 シーズンから使用開始されました。
このワクチンは弱毒生インフルエンザウイルスから作成されたワクチンで、左右の鼻腔に注入します。1回の投与で1シーズンの効果が期待されます。現在、主に使われている不活化インフルエンザワクチンとで効果には差がないとされています。
この経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト®)の対象は2 歳〜19 歳未満です。これ以外の年齢の方には接種できません。
このワクチンのメリットは経鼻接種なので注射に伴う痛みがないことと1シーズンに1回の接種でよいことといえます。
接種できない方は
①明らかな発熱(37.5度以上)を呈している者
②重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者
③本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者
④明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制をきたす治療を受けている者
⑤生後6か月〜2歳未満、19歳以上です。
さらに喘息患者(特に2歳~4歳)、先天性/後天性免疫不全症、免疫抑制剤使用中の者、無脾症(機能的無脾症を含む)など免疫が低下している者、中枢神経系の解剖学的バリアー破綻がある者(人工内耳埋め込み術を受けている、内耳の先天性形成不全、持続的な脳脊髄液の交通など)へのフルミスト接種は推奨されず、不活化インフルエンザHAワクチン接種が推奨されています。またフルミストは安定剤として精製ゼラチンを含有しており、ゼラチンによってアナフィラキシーを呈したことがある場合には、フルミストではなく不活化インフルエンザHAワクチン接種を推奨します。
また経鼻弱毒生インフルエンザワクチンは飛沫又は接触によりワクチンウイルスが周りに感染する可能性があるため、周囲に免疫不全患者がいる場合はフルミストではなく、不活化インフルエンザ HAワクチンの使用を推奨します。
主な副反応(国内での報告)には鼻閉・鼻漏、咳嗽、口腔咽頭痛、鼻咽頭炎、食欲減退、下痢、腹痛、発熱、活動性低下・疲労・無力症、筋肉痛、インフルエンザ(接種後数日にインフルエンザ様症状を呈した場合に病原体検査を行った場合にワクチン由来ウイルスが検出されインフルエンザと診断される可能性があります)、発疹、鼻出血、胃腸炎、中耳炎、顔面浮腫、蕁麻疹があります。
他のワクチンと同時に接種することができます。他の生ワクチンの接種間隔の制限はありません。
費用は8800円(税込み)です。